日本は「赤ちゃんが最も安全に生まれる国」といわれている。医療の進歩によって、救える命が増えた一方で、日常的に医療的ケアが必要な子供の数も増加している。そして、医療的ケアが必要なまま、ほとんどが成人になっていく。「学校に通いたい」、「仕事をしたい」、「好きな場所に行きたい」。子供たちの願いに寄り添い、子供たちの人生を支える医師の想いと、医療的ケア児を取り巻く現状に迫る。
- 制作者から
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田中先生が、患者の家族によく話す言葉があります。「元気に産んであげられなかったと謝るより、笑いかけながら子育てをしてほしい」。その言葉の通り、田中先生の往診は笑い声で包まれ、取材をさせていだいた患者や家族はいつも笑顔で迎えてくれました。「よだれが出ちゃった」。「服が表裏逆だった」。ちょっとしたことでみんなが笑顔になります。
取材をして感じたのは、病気は大変だけれど、不幸ではないということ。どう生きるかが大事なのだということです。一方で、家族の笑顔の裏には不安や葛藤が隠れているとも感じました。
この番組が、医療的ケア児を知らない人、育児に悩む人、生きることが苦しい人、いろいろな人に届き、命を考えるきっかけになればと思います。(ディレクター 安達琴乃)